偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
いつもはナチュラルな動きがあるブラックショートヘアが、フォーマルの場に相応しくセットされている。
すらりとしたスタイルを包むのは上質なスーツ。
見慣れているはずの彼が、どこか違って見える。
今、彼は何を思いこの場に居るのだろう。
「六条さん」
緊張しながら呼びかけると、響一は足を止め振り返った。
視線が重なると気まずそうな表情になる。
「城崎さん、驚いただろう? ごめんな」
「はい、すごく驚きました。まさか六条さんがお見合いの相手だとは思ってもいませんでしたから」
「そうだよな」
響一は相槌を打ち何かを言いかける。しかし花穂の背後に目を遣ると口を閉ざした。
「お父さんがこちらの様子を見てるな。歩きながら話そうか」
花穂もそっと後ろを振り返る。父は庭園に降りる縁側に佇みこちらを眺めていた。
恐らく花穂が妙なことをしないか監視しているのだろう。
「すみません、父は心配症なところがあって。あんなにじろじろ見られたら落ち着かない
ですよね」
「大丈夫だよ。それに急に見合い相手が変わったから心配するのは親として当然だ」
すらりとしたスタイルを包むのは上質なスーツ。
見慣れているはずの彼が、どこか違って見える。
今、彼は何を思いこの場に居るのだろう。
「六条さん」
緊張しながら呼びかけると、響一は足を止め振り返った。
視線が重なると気まずそうな表情になる。
「城崎さん、驚いただろう? ごめんな」
「はい、すごく驚きました。まさか六条さんがお見合いの相手だとは思ってもいませんでしたから」
「そうだよな」
響一は相槌を打ち何かを言いかける。しかし花穂の背後に目を遣ると口を閉ざした。
「お父さんがこちらの様子を見てるな。歩きながら話そうか」
花穂もそっと後ろを振り返る。父は庭園に降りる縁側に佇みこちらを眺めていた。
恐らく花穂が妙なことをしないか監視しているのだろう。
「すみません、父は心配症なところがあって。あんなにじろじろ見られたら落ち着かない
ですよね」
「大丈夫だよ。それに急に見合い相手が変わったから心配するのは親として当然だ」