偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
響一の表情は穏やかで、声音は誠実さが現れていた。
客とスタッフという関係ではあるが、彼と話すようになってそろそろ一年が経つから、多少は彼の人柄が分っている。
決してこんなときに嘘や冗談を言う人ではない。
しかし本気で言っているとしたら、それはそれで問題だ。
(結婚相手は私がいいと言われているみたい、いや、まさか!)
浮かんだ考えを、花穂はすぐに否定した。
響一程の男性があえて花穂を選ぶなんて、どう考えても不自然すぎる。
(居心地がいいってだけで結婚相手を選ぶことはないだろうし)
頭の中であれこれ考えを広げ困惑する花穂に対し、響一は落ち着いた様子で言葉を続ける。
「話を戻すけど、そんな風に考えていた時に、伊那さんから城崎さんの見合い話を聞いたんだ。しかもその見合い相手はうちが取引している企業の代表だった」
「えっ、そうだったんですか?」
「ああ。彼の会社が製造しているワインをうちが流通している。まあそういった事情で、見合い相手とコンタクトを取ることは簡単だった。そこで君との見合いを俺に譲って欲しいと話して納得して貰った……城崎さん」
客とスタッフという関係ではあるが、彼と話すようになってそろそろ一年が経つから、多少は彼の人柄が分っている。
決してこんなときに嘘や冗談を言う人ではない。
しかし本気で言っているとしたら、それはそれで問題だ。
(結婚相手は私がいいと言われているみたい、いや、まさか!)
浮かんだ考えを、花穂はすぐに否定した。
響一程の男性があえて花穂を選ぶなんて、どう考えても不自然すぎる。
(居心地がいいってだけで結婚相手を選ぶことはないだろうし)
頭の中であれこれ考えを広げ困惑する花穂に対し、響一は落ち着いた様子で言葉を続ける。
「話を戻すけど、そんな風に考えていた時に、伊那さんから城崎さんの見合い話を聞いたんだ。しかもその見合い相手はうちが取引している企業の代表だった」
「えっ、そうだったんですか?」
「ああ。彼の会社が製造しているワインをうちが流通している。まあそういった事情で、見合い相手とコンタクトを取ることは簡単だった。そこで君との見合いを俺に譲って欲しいと話して納得して貰った……城崎さん」