偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「事情は分かりました。六条さんに援助をしていただく対価として、私は妻役をするのですね?」

 間違いないだろう。彼が求めているのは、理解ある妻役の人間だ。

「大方はそうだよ。城崎さんに俺の妻になって欲しい。もちろん君の家への支援は惜しまないから」

「偽装結婚ということですね?」

 花穂がそう言うと、響一の表情がはっきりわかる程曇った。

「六条さん?」

(なんだかやけに動揺していない?)

 彼らしくないと感じる。

「どうしました?」

「……いや、なんでもない。それよりも偽装結婚という言い方は止めよう。酷く冷たい印象がある。俺は夫婦仲良くやっていきたいからね」

「分かりました。でも偽装じゃないと何て言えばいいんでしょうね」

「特別な名称は必要ないんじゃないかな。確かに打算的な始まりだが俺は城崎さんとよい関係を築きたいと思ってるよ。正当な結婚だと受け止めて貰いたい」

「分かりました。何事も前向きに考えた方がいいですものね」

「ああ、きっと仲良くやっていける。まずはお互い苗字で呼び合うのを止めよう。今のままだと他人行儀すぎる」

「そうですね」
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