偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
『花穂にはセキュリティ万全な部屋で暮らして欲しいし、すぐに行き来出来る範囲に居て欲しい。総合的に検討した結果、ここしかないという結論なんだ。花穂の希望はなるべく叶えてあげたいけど、これだけは譲って欲しい』

『わ、わかりました』

 懇願するように言われてしまっては、それ以上あれこれ言うのは逆に失礼だ。

 部屋自体はとても気に入っているのだし、素直に好意を受け取ることにした。


 マンスリーマンション入居初日。

 花穂は元アパートよりも格段に広い部屋の各部をチェックしながら、少ない荷物を片付けをしていた。響一が朝からやって来て手伝ってくれている。

「問題はなさそうだな」

「はい。十分過ぎるくらいです」

 大画面のテレビにオーブンレンジなど必要家電が最新のものが揃っている。食洗器に乾燥機まであり至れり尽くせりだ。二畳程あるウォークインクローゼットをはじめとして、収納も十分。

「アリビオの仕事は来週からだろう? 今日は必要なものを買いに行こう」

「そうですね。でも響一さんは仕事ありますよね? 買い物は私ひとりで大丈夫ですから、行ってください」
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