偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「俺の予定は気にしないで大丈夫。必要なものを買って、帰りはどこかで食事をしよう」

 てっきり仕事に戻ると思っていたが、丸一日休みを取ったと言う響一は花穂より張り切っているように見える。
 彼に連れられ生活必要品を揃え、その後はなぜかブランドショップで花穂の服や靴を買うことになった。

「響一さん、私こういった服を買っても着る機会がなさそうなので」

 シックなワンピースや、エレガントなスーツなど、響一が「花穂さんに似合いそうだ」と次々に選んでいくものだから、花穂は慌ててしまう。

 仕事とカフェ開業準備が生活の中心だった花穂は、服にあまりお金をかけてこなかったし、関心もあまりなかった。ファッションに時間をかけるくらいなら貯金をしたかったし、他にやりたいことが沢山有ったからだ。

「俺の妻になったら、着る機会が出てくる。花穂にはなるべく負担をかけないようにするが、どうしても外せない集まりは付き合って欲しいんだ」

 響一の言葉に花穂ははっとした。

「それはもちろんです。ごめんなさい気が利かなくて」

 考えてみれば彼の言う通りである。
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