偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 カフェでの接客は仕事と割り切っているため、出来る。しかしプライベートとなると、相手の言葉にいちいち反応して動揺してしまう。つまり社交が苦手なのだ。

 響一の妻という立場上、きっと人付き合いが増えるだろう。彼は気にしなくていいと言っているがそうはいかない。

(もっと社交的になれるように頑張らなくちゃ)

 密かに決意をしてから気持ちを切り替えて広斗に笑顔を向ける。

「広斗さん、広間に親戚の皆さんが集まっています。ご案内しますね」

「ありがとう」

 三人で広間に向かう。広斗は六条本家に訪れる機会が多いようで、とても慣れた様子だ。

 親族たちも彼に気付くと次々話しかけていた。

(響一さんと同じくらい注目を浴びている)

「広斗くん、久し振りだね。こっちに座りなさい」

「お久しぶりです、失礼します」

 彼はあっという間に場に馴染み、気付けば話題の中心になっていた。

 花穂も親族の輪に加わる。緊張したが響一が常に隣でフォローしてくれた為、あまり気負わずにいられた。

 しばらくして会話が一区切りつくと、響一が耳元でささやいた。
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