偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「なんだその態度は。お前は響一よりひとつ年上だと言うのに、いつまでも落ち着かずにフラフラしおって、心配になるのは当然だろう!」
「だからといって新年早々人前で言わなくてもいいでしょう? ほら花穂さんが驚いていますよ」
「えっ?」
広斗の言葉に祖父がはっとした様子で花穂を見る。それからしゅんとしたように眉を下げた。
「花穂さん、すまないね。広斗を見ていたらついもどかしくなってしまってな。驚かせて悪かった」
「い、いえ大丈夫です。私のことはお気になさらず。ね、響一さん」
響一に思わず助けを求めた。
「そうだな。俺たちに気遣わなくていいので、ふたりで話し合ってください」
響一はそう言うと花穂に優しく微笑む。
「花穂、俺たちは離れに行って改装の進み具合を確認しないか?」
「そうですね。見てみたいです」
祖父たちに断りを入れて部屋を出た。六条家は広く同じ敷地内と言っても離れまではかなり歩く。
響一が見合いの席で言っていた通り、同居と言っても十分にプライバシーが確保されている。
中庭を通った先の小さな平屋建てが、新居となる離れだ。屋根から外壁、室内までフルリフォームをするが、花穂の意見を多く取り入れて貰っている。