偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

 十五分程歩いた最寄りの私鉄駅近くには以前の家の近くにもあったスーパー。輸入食品などの専門店。ヘアサロンやスポーツジムなど生活するのに便利な施設が大方揃っている。

 目を引いた輸入雑貨の店で小物を何点か購入してから、スーパーで必要な食材を購入して帰宅した。

 花穂は料理への関心が高いほうだ。専門学校に通った訳でも、伊那のように留学した訳でもないから特別な技術はないが、気になるレシピを見つけると、簡単に材料が入手可能なら自分で作ってみたくなる。

「今日は何を作ってくれるんだ?」

 とはいえ、響一と一緒の食事の場合は、失敗したくないので冒険しない。

「和食にしようと思って。湯豆腐に根菜の煮物、銀むつの西京焼とお味噌汁です」

 新居祝いという感じはしないが、以前彼が和食が好きだと言っていたのを思い出したのだ。せっかく作るなら喜んで貰いたい。

「美味そうだ」

 思った通り、響一は嬉しそうに目を輝かせた。

「じゃあ作っちゃうので待っていてくださいね。お祖父さまは来られるかな?」

「ああ。さっき声をかけたら張り切ってた」

「よかった」

 花穂は使いやすいキッチンで新居初めての料理をし、家族団欒の食事を楽しんだのだった。
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