旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
嘉納家
「――本当に良かったのですか? パーティーをあのままに出てきてしまって」
「あれは、母が好きで開いてる催しだからな。それにあの別邸は母の物だ」
そう言って退けた嘉納様は邸宅の前で待っていた車に近づく。少しの灯りだけでも高級車だとわかった。
運転手がサッと降りてきてドアを開ける。彼が乗って私も乗ると、座り心地がとてもいい。ふわふわのソファに座っているみたいだなぁと関心をしていると運転手がドアを閉める。
「……では、出発いたします」
運転手は静かに言って、エンジンをかけると出発させた。走っているのに振動もないまま車は走り、一時間ほどで嘉納様の本邸に到着した。
前に来た時も思ったけど……すごいお家だ。
高級住宅街にボンッとある外国のような豪邸で八百坪以上ありそうな土地でとても大きい。庭も大きくて噴水やバラ園というものもあるらしく、本当に小さなお城みたい。
これからここに住むなんて……現実?