旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



「結鈴。……どうした?」

「あっ、嘉納様。すみません。お家が何度見ても大きくて圧倒されました」

「確かに、二人暮らしには大きすぎるかもしれないな。だが、ここで立ち話をしているのはおかしいだろう。使用人は少ないが、待っているだろうし」

「そうですね。行きましょう」


 玄関まで歩くと、待ち構えていたのはメイドと執事が合わせて六人でこんな迎えられ方初めてでドキドキしてしまう。


「お帰りなさいませ、天浬様。結鈴様」

「ただいま。結鈴の部屋は整ってるか?」

「もちろんでございます」

「そうか。なら行こう」


 そう言って嘉納様は私を横抱きをした。


「ひゃ……! か、嘉納様!?」

「この屋敷は広い。部屋に到着するまでに疲れてしまうから愛しき妻を運ぼうと思ったのだが、だめかな」

「え、……! い、愛しき妻!? 運ぶ!?」

「愛しき妻だ。まだ婚姻はしていないが、妻になるのだからいいだろう」

「でも、嘉納様! 私、重いんじゃないでしょうか!」


 少し抵抗をするが、がっしり抱えられていて降ろしてもらえそうにない。
 ゆらゆらと揺られながら私は嘉納様の腕の中にいて、それがとてもゆりかごみたいで疲れと緊張でウトウトしてしまって眠気に耐えようと頑張ったけど心地が良すぎて私は夢の中に落ちていってしまった。



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