旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



  ***


「――り、結鈴」


 名前を呼ばれて、ハッと起きた。
 私はいつの間にか彼の腕の中ではなくソファの上にいた。


「あっ、私いつのまに……っすみません」

「それはいい。寝かせておこうと思ったのだが、服も皺になるだろうし、あったかい湯船に浸かって着替えた方がいいと思ったんだ」

「ありがとうございます。嘉納様……お気遣いいただいて」

「それはいいんだ。だが、一つお願いしてもいいかな」

「あ、なんでしょう? 私でもできることなら」


 何をお願いされるのかドキドキして待っていると「そろそろ、名前で呼んではもらえない?」と彼は言い私を見つめる。

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