旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



 この非常識が……婚約していたし常識があるとは思っていなかったが、こんなことをしでかすとは思ってなかった。それに、白紙になったこと知らなかったなんて。

 でも……まさか本当にあの人と話していた通りになるだなんて、とそんなことを気楽に考えていれば名前を呼ばれた。


「――結鈴」

「嘉納様」


 後ろから現れたのは、この家の主であられる嘉納(かのう)天浬(てんり)様。

 抜群のスタイルに相変わらず顔面偏差値が高く煌びやかなオーラが飛び交っているように見える彼は、旧財閥家嘉納銀行の御曹司で若き頭取だ。

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