旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
「天浬さん……早いですね」
「あ、あぁ。いや」
天浬さんは何故かモゴモゴしてソッポを向いてしまった。すると「旦那様は照れていらっしゃるんです。結鈴様が想像以上に可愛らしいから」とメイドに言われ体温が上昇したように真っ赤になり俯いてしまった。
「……っ言うな」
「ですが、旦那様。ここは第三者が言わないと、伝わりませんよ。旦那様は大旦那様にとても似て実に分かりにくいので」
「はぁ、まぁ、否定はできない。……結鈴」
急に名前を呼ばれ「はい」と言う声が高くなる。
「とても似合っている。可愛い」
「っ! ありがとうございます……旦那様が買ってきてくださったんですよね。嬉しいです」
「いや。このブランドが、人気だと調べたんだ。そしたらこのブランドが出てきて、その服が結鈴に似合うんだろうなと思ったら店舗限定だとオンラインショップで表示があったから……買いに行っただけだ」
とても早口で言う天浬さんはなんだか可愛らしくて少し笑ってしまった。
「……さぁ、行こうか」
「はい、天浬さん……えぇ!?」
また天浬さんは、私を持ち上げて玄関まで向かった。
「では、いってらっしゃいませ。お気をつけて」
「ありがとう。行ってきます」
私は、玄関まで運ばれて用意されていたヒールを履いて天浬さんのエスコートで屋敷を出て車に乗り込んだ。