旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



「こんにちは、嘉納由紀治(ゆきじ)の家族ですが」

「こんにちは。では、手洗いうがいをそちらでしていただけますか?」


 コンシェルジュさんの言う通り、手洗いうがいを二人で済ませてエレベーターに乗った。レジデンスだから二階しかないのだけど……

 エレベーターから降りると、二階の右奥に進むと如何にも高そうなドアのインターホンを押した。




「――いらっしゃい、よく来たね。結鈴さん」


 出迎えてくれたのは、この部屋の主である嘉納由紀治さん。天浬さんのお父様で、嘉納銀行の頭取だった方であり母の元婚約者だった方だ。


「話をするのは、初めましてだね。結鈴さん」

「はい。初めまして、岡本結鈴と申します……これからよろしくお願いいたします」


 ペコリと頭を下げると天浬さんがいつの間にかお茶を淹れてくれていてテーブルには三つの湯のみが並んだ。

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