旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



 都内にある有名なホテルで、昔から皇室や旧華族など富裕層の方々が利用している宿泊施設だ。
 私の叔父は天浬さんと同じ銀行の頭取で、昔は没落してしまったが旧華族で旧伯爵家だったらしい。だから昔から利用していたのだとか……


「結鈴。よく来てくれたね、ありがとう」

「いえ、叔父様こそありがとうございます」

「天浬くんも良くきてくれた。ありがとう」


 この方は、母の弟であり京都にある浅田銀行頭取の鹿島(かしま)幸仁(ゆきひと)さまだ。
 今まで疎遠だったが、天浬さんと結婚するにあたって電話をした。それで、今回仕事でこちらに出てくるときいて会うことになったのだ。


「姪の保証人になるのは当然だ。岡本(あちら)には任せられん」

「ありがとう存じます。嬉しいです」

「立ち話もなんだし、部屋の方に行こうか。最上階にあるからとても眺めも抜群だよ」


 叔父さんと天浬さん、私で部屋に行き話をした。今までのことも、もし良かったらたまに会いたいって話もした。叔父は、保証人にサインをしてくれて京都のお土産も下さった。

 それからホテルから役場に直接行って婚姻届を無事提出することができた……閉まるギリギリだったけど、無事、私は嘉納結鈴になった。



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