旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
「……食欲、ありませんか?」
「え?」
「手が止まっていたので……」
「あ、すみません。少し、不快感があって……」
食べようとするとムカムカして胸焼けしてる感じがする。
「そうなんですね。では、プリンなら食べられますか?」
「あ、はい……多分」
食事に添えられているデザートのプリンを手に持つと、スプーンで一口掬って口に運ぶ。卵の甘さが美味しくて口の中でとろけ、ほろ苦いカラメルが合わさって美味しい。
「美味しいです。……あの、今日は、自室で休んでもいいですか?」
「えぇ。旦那様には私からお伝えしますね。何か欲しいものはありますか?」
欲しいもの……欲しいものか、今はないなぁと思って「大丈夫」だと答えた。