旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
***
「――ゆり……だいじょ……なのか」
「はい。今は眠っておりますのでお静かにしてください、旦那様」
メイドさんと、天浬さんの声が聞こえて私は目を開けた。
「結鈴様? 目が覚めたんですね!」
「あ……うん」
「心配したんですよ。プリンを召し上がられてずっと目を覚さないから心配しました」
ふと、時計を見るともう天浬さんが帰宅する時間だった。
「て、天浬さんは……もう帰宅されてますか?」
「はい。少し前に帰宅されました……お呼びしますか?」
「うん、お願いします」
そう言えば、廊下は騒がしくなり「天浬様!お部屋にお戻りくださいませっ!」というような声が聞こえてきてすぐ扉が開いた。