旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
「食欲もないって聞いた。何かあってからじゃ遅いんだ、だから行こう。俺も一緒に行く」
「え、仕事では?」
「ちょうど有給を取っていた。だから大丈夫だ」
せっかくの休みなのに申し訳ない思いを抱えながらも、体調不良は本当だったので私は明日病院に行くことを決めた。
翌日、私は天浬さんも小さい頃からお世話になっている病院に向かった。
都内有数の高級住宅街が周辺にある立地の病院で受付ホールは吹き抜けになっていてホテルのようなラグジュアリーな空間が広がっており、病院なのか疑ってしまうほどだった。
「……天浬、お待たせ」
「おう。今日は急だったのにありがとう」
中に入ってすぐ、天浬さんと同じ背格好の男性が近づいてきて彼に声をかけた。
「初めまして、奥さん。俺は天浬の従兄でここの医師をしてます。嘉納真央です」
「結鈴です。よろしくお願いします」
挨拶をして真央さんに綺麗な診察室にそのまま通された。天浬さんはVIPだから、らしい。
診察室では、女医さんがいて「こんにちわ」と優しく微笑んでくれた。少しだけ緊張していたから気持ちが和んだ。