旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜


 症状などを話し、念のため血液検査や尿検査をすることになり検査室に向かった。
 検査室もVIP専用の場所で貸切状態だ。そこで先に尿検査のためトイレに行き、提出。次に採血をして結果を待つことになり二人で待合室で結果待つ。


「……ご懐妊されてますね、八週目です」


 女医さんは、超音波で色々説明してくださったけどフリーズしてしまっていて聞こえたのは次は母子手帳をもらってきてくださいという言葉とエコー写真だった。

 とても嬉しいのに、寂しさが込み上げてきてどうしてか涙腺が緩んだ。


「おめでとうございます、嘉納さん」

「ありがとうございます」


 だってこの結婚は、子どものための結婚で子供ができたら私は用済みで彼から見向きもされないんじゃないかと思ったら寂しくて虚しくなった。
 そんな思いを抱えながらいるのは赤ちゃんに失礼だと思い、頬を叩き笑顔を作った。

 そして私は、天浬さんが待っている個別の待合室へ向かった。

< 38 / 53 >

この作品をシェア

pagetop