旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
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「ん……美味しい」
「本当か!?」
私は、目の前にある大きなお皿に乗ったまだ温かいポテトチップスを食べている。これは、料理すらしたことのなかった天浬さんが手を傷だらけにして作ったポテトチップスだ。
「とても美味しいです。昨日のレモンのゼリーも美味しかったけど、これも美味しいです」
「良かった。昨日より食べれてるんじゃないか?」
「そうですね。天浬さんの料理は美味しいから」
妊娠発覚して今は妊娠三ヶ月の四週目だ。あれからというものの、彼は元から優しかったが激がつくほどに甘くなり溺愛されていると思う。銀行でも愛妻家だと言われているみたいだし……けど、彼が本当に私のことを好きなのかはわからない。
結婚するにあたって約束したことは達成されてしまう。もしかしたら出産したらこの関係は終わってしまう、二人で過ごす未来は出産後はないのではないかと思ってしまった。