旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
「結鈴、どうかした?」
「……え、何もないです。すみません」
「謝らないでいいが、体調が悪くなったら横になって」
「大丈夫です。あの、天浬さん……」
天浬さんに目を合わせる。私のことをどう思ってるのかこれからのことも話をしようと口を開くが、別れたいと言われたらどうしようと思い口を閉じた。
「ううん、なんでもない……忘れちゃった」
「そうか。何かあれば、言ってね」
子供扱いするように私の頭をナデナデすればスマホが鳴り、部屋から出ていった。
でも、今は愛されている。そう思ったら悩んでいたことがバカバカしく思って安心した。だけど、少しだけ聞こえてしまった言葉が私をどん底へ落とした――