旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜
「それに、俺はずっと結鈴が好きだった。ずっと、もう十年以上片思いをしている」
「……え? 十年?」
「俺が君と出会ったのは、まだ結鈴が小さくて俺も御曹司だと言われていた頃。俺は厳しく、帝王学……旧財閥家の後継ぎに対する幅広い知識や経験、作法などの後継としての人格や人間形成に至るまでを含められている全人的教育を教わっていた時。君を連れて、君のお母さんが嘉納家にやってきた。その時、まだ小学生で可愛くて天使みたいなのに、礼儀作法はしっかりしていて知識もあるとても賢い女の子だと思った。それから何度か、屋敷に来てくれるようになった。でも、お母さんが亡くなってバッタリとなくなったけどね……会えなくなって気づいたんだ。結鈴のことが可愛い妹なんかじゃなくて、女の子として好きだったんだって」
「私、全く覚えてなくて……嘉納家に連れていってもらったことも記憶になくて」
本当に記憶が全くない。でも、母が亡くなる前に会ってたってなんでそんなこと忘れてたんだろう。