桜ふたたび 後編
『カールはどうなるのでしょうか?』

ウィルもレオも彼の到着を待っていたのだ、息子の命運はすべてこの男にかかっていると、ローラは必死だ。

『安心していい。あなた方の生活は、我々が保障する』

驚いたのは、ローラだけではなかった。

『レオ、カールは君に預ける』

レオは当惑し、それから、その手があったかと得心したように頷いた。

『待ってください!』

リンが険しい顔で立ち上がった。

『彼をチームに加えるおつもりですか?』

リン以上に厳しい表情で、ウィルも立ち上がった。

『止めておけ! ハッキングはドラッグと同じだ。些細なきっかけで再犯を繰り返す。二度とコンピュータに触らせないという誓文をとって、母親の監視の元、アーミッシュの村にでもぶち込んどけ』

『いいえ、やはり警察へ──』

まだ言うのかと、ウィルは発言を遮った。

『次にまた同様の事件を起こして、FBIの狂犬どもに捕まってみろ。君のマネーマネジャーのように、過去をほじくり返されるぞ。──彼との契約もまだ解除していないそうだな?』

ウィルは思い出したように責めた。

ここまで被害を大きくしたのは、マネーマネジャーの経歴詐称にある。あの男は胡散臭いと忠告していたのに、ジェイは聞く耳を持たなかったのだ。
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