桜ふたたび 後編
目を覚ました澪は、満ち足りた気怠さに吐息した。全身に幸せな余韻が残っている。
たゆとうような時間を愛おしむように、枕に顔を埋めたとき、頬がヒリヒリするのを感じた。見ると、乳房にも赤い痕がある。
──ひげ……。
身だしなみには人一倍気を遣うジェイが、時代劇の浪人のような風貌だった。そのうえ、いつもとは違うエキゾチックな香りで、まるで知らない男に抱かれているみたいだった。
「何がおかしいんだ?」
笑顔を向けた澪は、目を白黒させた。
「ジェイ、ひげ……。剃っちゃったんですか?」
「澪が笑うから」
「ごめんなさい。……せっかく伸ばしたのに……」
「ひげなんかすぐに生える。それより、澪のきれいな肌に傷をつけたくない」
言いながら、澪の鎖骨の下についた赤い痕を指先でなぞる。滑らせた指が胸の鴇色の頂きまで辿り着いて、唇から甘い声が漏れてしまい、澪は慌てて羽布団を引き上げた。
「お腹、空いてませんか? 年越しそば、作りましょうか?」
ジェイは、起き上がろうとする澪を抱き伏せた。
「私は澪に餓えてるんだ」
たゆとうような時間を愛おしむように、枕に顔を埋めたとき、頬がヒリヒリするのを感じた。見ると、乳房にも赤い痕がある。
──ひげ……。
身だしなみには人一倍気を遣うジェイが、時代劇の浪人のような風貌だった。そのうえ、いつもとは違うエキゾチックな香りで、まるで知らない男に抱かれているみたいだった。
「何がおかしいんだ?」
笑顔を向けた澪は、目を白黒させた。
「ジェイ、ひげ……。剃っちゃったんですか?」
「澪が笑うから」
「ごめんなさい。……せっかく伸ばしたのに……」
「ひげなんかすぐに生える。それより、澪のきれいな肌に傷をつけたくない」
言いながら、澪の鎖骨の下についた赤い痕を指先でなぞる。滑らせた指が胸の鴇色の頂きまで辿り着いて、唇から甘い声が漏れてしまい、澪は慌てて羽布団を引き上げた。
「お腹、空いてませんか? 年越しそば、作りましょうか?」
ジェイは、起き上がろうとする澪を抱き伏せた。
「私は澪に餓えてるんだ」