桜ふたたび 後編
ジェイは宙を見つめた。とんだ藪蛇だ。
「澪──」
寝返りを打った白い肩が、無言で抗議している。
「ごめん」
「いいえ、わかってます。仕事に女連れでは拙いですよね。パリも近いし……」
そんなに怒らせたのか、澪が厭味を含ませるなど珍しい。
「澪、こっち向いて」
ジェイは宥めるように言った。
「……」
「向けよ」
体を起こして力ずくで裏返すと、澪はオセロのように呆気なく上を向いた。
「そんなにバハルへ行きたかったの?」
澪は哀しげに見つめる。
「仕事が片付いたら連れて行ってあげるよ。Abu DhabiでもIstanbulでも」
澪は顔を左右にする。
「ああ、海がいい? BahamasかCancun」
「……」
「澪」
「……離れていると、不安で……」
澪は消え入りそうに言った。
「澪──」
寝返りを打った白い肩が、無言で抗議している。
「ごめん」
「いいえ、わかってます。仕事に女連れでは拙いですよね。パリも近いし……」
そんなに怒らせたのか、澪が厭味を含ませるなど珍しい。
「澪、こっち向いて」
ジェイは宥めるように言った。
「……」
「向けよ」
体を起こして力ずくで裏返すと、澪はオセロのように呆気なく上を向いた。
「そんなにバハルへ行きたかったの?」
澪は哀しげに見つめる。
「仕事が片付いたら連れて行ってあげるよ。Abu DhabiでもIstanbulでも」
澪は顔を左右にする。
「ああ、海がいい? BahamasかCancun」
「……」
「澪」
「……離れていると、不安で……」
澪は消え入りそうに言った。