桜ふたたび 後編
スマホが音も立てずに震えた。ジェイは電話を耳にするのももどかしく、

『見つかったか?』

〈白いリンカーンコンチネンタルのリムジンだったな?〉

質問と言うよりは確認というウィルの口調に、ジェイは胸をなで下ろした。

『そうだ、どこだ?』

〈車は見つけた〉

ジェイはにわかに表情を曇らせた。

〈屋敷から四マイルほど離れた路肩だ。車内には運転手とアテンダーが乗っていた〉

『澪は?』

〈これから二人を病院へ連れて行く。十五分後に連絡する〉

ジェイは切られた電話を耳に当てたまま、茫然とした。

“大丈夫か?”

“ああ”

“澪は?”

ジェイは頭を振り、深紅のバージンロードが敷かれた聖堂内に目を向けた。

美しい花々で飾られた祭壇の前に、参列者たちが着席している。さすがに式の遅れを不審に思い始めたのか、そわそわと落ち着かない。
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