桜ふたたび 後編
《アーシャのお家に泊まったの?》

《うん》

《ママンと一緒に?》

《うん。でもママンは忙しいんだよ。大事なお仕事で、ずっとお出かけしてた》

レオは考えるような顔つきになった。

《ママンはお友だちを連れてこなかった?》

《ううん。どうしてそんなことを聞くの?》

流石に疑い出したので、レオはにっこり笑って誤魔化した。

《そうだ、あれ、何て言ったっけ。サンタクロースのソリを引っ張ってる──》

《トナカイ!》

《そう、トナカイ》

《トナカイなんかさ、道を歩いてるんだ。お庭にも勝手に入って来ちゃうから、困るんだよなぁ》

《へぇ~》

レオはいかにも羨ましいと声を上げてから、時計を確認した。
エマの引き留め作戦も、そろそろ限界だろう。
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