桜ふたたび 後編
指を止め、ジェイは言った。

『新設八年前後の医療施設の関係者』

すぐには意図が掴めずウィルとリンは首を捻って、それからアッと目を見合った。

『二億ドルか?』

十二年前、カールが搾取した二億ドルは、依然行方不明のままだ。
その事件の黒幕がアランだと、ジェイは考えているのか。

『ひとりヒット!』

食いつくようにモニターを覗き込んだウィルは、アッと息を呑むと仰け反るように困惑の目をジェイに向けた。

『シアーシャ・オサリバン。サーリセルカ病院の看護師。姉の名はキアラ。ああ、だめだ、北アイルランドの元医師だけど十年前に亡くなってる。──えっ? なに?』

『オサリバンの娘か』

ウィルは苦い記憶を呼び覚まされたように呻いた。

『ビンゴだよ、ニコ』
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