まじないの召喚師3
話を戻して。
チャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。
「おはよう、全員揃っているな」
臨時の長期休み明けで半分寝ている生徒もいたが、気持ちやつれた担任は気にすることなく話を続ける。
「もうすぐ校長先生の話が始まるから、静かに聞けよー」
それに対する生徒の反応は様々。
「何の話だろ」
「どうせ無駄に長いんだろ」
「めんどくさい」
「体育館に集められるよりマシでしょ」
不満をこぼす者。
「…………チッ」
「………っしゃオラ」
机の陰でケータイゲーム機を操作する者。
「…………ぐー」
厚みのある鞄を枕に、寝る体勢に入る者。
担任はそれを注意するでもなく教室を出ていき、やがて放送が始まる。
私も寝る側だったので、ところどころ朧げであるが。
曰く。
先日の登山。
地蔵の祟りによって崖から落ちた生徒達は、慢性的な身体の痺れが残っただけで、命に別状はなかったらしい。
これを受けて学校側は、来年からの合同登山を廃止するとのこと。
各教室から嬉しい悲鳴があがった。
地蔵を蹴飛ばした不届者達が生徒のヒーローになった瞬間だ。
そのヒーロー、体を引きずりながら登校していたとクラスメートの誰かが話していた。
そんな痛ましい事故を受けて、本日生徒ともども学校全体でお祓いを受けることにしたらしい。
そこで記憶は途切れ、気づけば授業が始まっていた。