再縁恋~冷徹御曹司の執愛~

1.会いたくなかった

「――やっと、見つけた」


四年ぶりに聞いた低音に、心が震える。


希和(きわ)


私を呼ぶ薄い唇も、完璧な容貌も、なにひとつ変わらない。

違うのは、綺麗な二重の目に滲む怒り。


「人違い、で……」


「……見間違えると思うか?」


長い足が、一歩また一歩と距離を詰める。

骨ばった指が頬に触れ、過去の恋情を嫌というほど思い出させる。


お願い、やめて。


必死で封じ込めた想いを、こじ開けないで。


「もう、絶対に逃がさない」


私のほつれた髪を耳にかけ、ささやく。

些細な接触に、心臓が壊れそうなほど大きな音を立てた。


「お前が誰のものか、もう一度体に刻みこむ」


物騒な物言いに息を呑んだ。
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