再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「ふっ……」


ひっきりなしに漏れる声が自分のものとは思いたくない。


不機嫌さを纏いながら、惺さんは私の服を手早く剥ぎ取った。

自身の衣類も乱雑に脱ぎ捨てて、素早く私の体を引き寄せる。

あの頃と変わらず引き締まった体つきと高い体温に、どうしても鼓動が速まっていく。

抱かれるわけにはいかない。

必死に逃げたのだから、流されたくない。

体を再び重ねたら今度こそもう、想いを封印できない。

一生懸命に抵抗するけれど、巧みなキスと丁寧な愛撫に思考がまとまらない。

首筋を甘噛みされ、舌で胸元まで辿られる。

骨ばった長い指が胸を優しく包み込む。


「……離れている間、誰かがここに触れた?」


鎖骨のすぐ下に所有印を散らせながら、尋ねる。


「や……っ」


脇腹を大きな手にするりと撫でられ、ビクリと体が跳ねる。


「答えて、希和」


真剣な顔つきと緊張の滲む声に心がざわめく。


本当に、私を捜していたの? 


あれからずっと?


「誰も……触って、ない……」


「本当に? ……じゃあ、確認させて」


物騒な台詞を口にして、胸元に唇を寄せる。

チクリとした痛みが広がり、赤い花が咲いた。


なんで、信じないの? 


私が誰とでも体を重ねると思っている?


過去の噂のせい?
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