再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「お前は俺のものだ。ほかの男のところには絶対に向かわせない。あきらめろ」


吐き捨てるような口調にどうしていいかわからない。

私の体に覆いかぶさり、自由を奪った目には、激しい怒りが滲んでいた。


「誰だ? 相手の名前を言え」


言えるわけがない。

迷う私の態度にさらに怒りを募らせる。


「俺は希和を二度と手離さないし、誰かに譲るつもりも共有する気もない」


イラ立ちを押し殺したような声で、一言一句をゆっくりと告げる。


「話すまで、ここから出さない。……もう一度抱けばわかる?」


物騒すぎる物言いに目を見張る。


なにを、言ってるの?


「……閉じ込める、つもり?」


尋ねる声が掠れる。


「きちんと話せば、閉じ込めない」


「拒否したら?」


「あらゆる手を使って相手を調べ上げる」


脅しとしかとれない言い方に胸が軋む。

やっと、思い出にできたはずだった。

なんとか、平穏な毎日を築けていると思っていた。


心安らかな日常を息子と過ごしたい、ただそれだけなのに。


なんで、自分勝手にかきまわすの?


私を突き放したのは、あなたでしょう?


婚約者は?


感情が高まり、制御できず目頭が熱くなっていく。
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