再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「……送ってくれてありがとう。あの、ここで」
躊躇いを断ち切るように、淡々と線引きをする。
お願い、早くここから去って。
このままじゃ、弱い自分に負けてしまう。
恋心をもう誤魔化せなくなるから。
バッグから取り出した、保育園の保護者カードを手の中で強く握りしめる。
これがないと保育園には入れないし、引き渡しはできない。
「俺も行く」
そう言って、私の手からさっとカードを取り上げ、堂々と先に園内に入っていく。
「ち、ちょっと待って!」
慌てて追いかけると、案の定惺さんは周囲の保護者の注目を浴びていた。
見慣れない、目立ちすぎる人物に先生が遠慮がちに声をかける。
「あの……恐れ入りますが、どなたのお迎えでしょうか……保護者カードを拝見しても?」
「不慣れですみません。どうぞ」
カードを提示されて、先生が少し首を傾げる。
さらに後方にいた私に気づき、安堵したように声を上げた。
「ああ、悟己くんの……」
「はい、父親です。事情があり、これまで顔を出せずに申し訳ございません。今後ともよろしくお願いいたします」
“事情”という部分を強調して告げる彼に、先生が大きく目を見開く。
躊躇いを断ち切るように、淡々と線引きをする。
お願い、早くここから去って。
このままじゃ、弱い自分に負けてしまう。
恋心をもう誤魔化せなくなるから。
バッグから取り出した、保育園の保護者カードを手の中で強く握りしめる。
これがないと保育園には入れないし、引き渡しはできない。
「俺も行く」
そう言って、私の手からさっとカードを取り上げ、堂々と先に園内に入っていく。
「ち、ちょっと待って!」
慌てて追いかけると、案の定惺さんは周囲の保護者の注目を浴びていた。
見慣れない、目立ちすぎる人物に先生が遠慮がちに声をかける。
「あの……恐れ入りますが、どなたのお迎えでしょうか……保護者カードを拝見しても?」
「不慣れですみません。どうぞ」
カードを提示されて、先生が少し首を傾げる。
さらに後方にいた私に気づき、安堵したように声を上げた。
「ああ、悟己くんの……」
「はい、父親です。事情があり、これまで顔を出せずに申し訳ございません。今後ともよろしくお願いいたします」
“事情”という部分を強調して告げる彼に、先生が大きく目を見開く。