再縁恋～冷徹御曹司の執愛～
「あ……」


「希和、そちらは？」


惺さんが私の隣に立ち、白鳥さんを見つめる。

白鳥さんは驚いたように目を丸くしていた。


「白鳥さんよ。悟己のお友だち、梨華ちゃんの叔父様なの」


「……初めまして、白鳥です」


「お世話になっています。嵯峨です」


なぜか重苦しい空気に戸惑い、早口でふたりに別れの挨拶を伝えて悟己の手を引く。

今後を考えると頭が痛くて仕方ないが、今は一刻も早くこの場を離れたい。


「ママ、どうしたの？」


息子が繋いだ手を引っ張り、問いかけてくる。


「……さとみ……？」


私が返答するより早く惺さんが名前を呼ぶと、悟己は惺さんを不思議そうに見上げた。

綺麗な二重の目が大きく見開かれ、悟己を凝視している。


「おじさん、だあれ？」


悟己の声に彼が息を呑んだ。

整った容貌が泣きだしそうに歪み、口元を大きな手で覆う。


「悟己にお話があるの。保育園を出たら話すから、少しだけ急いでくれる？」


「うん、わかった」


慌てて口を挟んだ私を疑いもせず、早足で歩きだした息子に胸を撫で下ろす。

惺さんは無言で私たちの後ろを長い足で歩く。

保育園を出てすぐは全員無言だったが、駐車場が見えてくると彼は悟己の正面に回り、屈んだ。
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