再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
……本気で自分の子だと信じているの?


どうして?


惺さんは混乱する私と悟己をやってきたタクシーに乗せる。

手配時に依頼していたようで、車内にはチャイルドシートが装備されていた。

さらに今さらだが連絡先を強引に交換された。

自宅に到着して、室内に足を踏み入れた途端、力が抜けた。


「ママ、大丈夫? ねえ、はやく準備しよう」

 
心配しながらも焦れたような声に、これまでどれだけ父親に会いたかったのだろうと胸が痛んだ。

守るつもりだったのに、本当は息子から父親を奪っていただけだったのだろうか。


悟己はずっとパパに会いたかったの?


怖くて、口に出せない問いかけ。

もし……惺さんが悟己を引き取れば、なに不自由ない生活が約束されている。

頭をよぎった考えに、小さく首を横に振る。


馬鹿ね、それが嫌で逃げ出したんでしょう? 


落ち着くのよ、まずは惺さんがなにを考えているのか確認しなくちゃ。


ひとつ深呼吸をして、気が進まない荷造りを始めた。

今後のためにスカートのポケットにスマートフォンを入れておく。

一時間も経たずに迎えに現れた彼とともに、再びマンションへ戻る。

二度と来ないと誓ったはずなのに、と気分が落ち込む。
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