再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
悟己は豪華な室内に興奮しっぱなしで目をキョロキョロさせ、ところかしこに手を伸ばしている。

なにか壊しはしないかと冷や冷やする私を尻目に、惺さんは楽しそうに見ている。


「好きに触っていいよ」


優しい声に驚く。

リビングに入ると玄関の呼び出し音が鳴り、彼が応対した。

やがて戻ってきた手には大きな段ボール箱が抱えられていた。


「悟己、好きなものはある?」


段ボール箱を開けて惺さんが問いかける。

中にはたくさんの衣類やおもちゃ、DVDなど子どもが喜ぶもの、必要なものがぎっしり詰め込まれていた。


「これとこれ!」


無邪気におもちゃとDVDを選び、父子はリビングにある大きなテレビの前に移動する。

次第に画面に夢中になる息子を見つつ、ダイニングに戻ってきた彼に声をかけた。


「……あの、ごめんなさい。あれこれ用意していただいて……」


「息子に必要なものをそろえただけだ。……希和、いい加減に敬語をやめろ」


咎めるような口調に、目を伏せる。


「久しぶりなので……気をつけます」


「だから、言い方」


呆れたような声に、気持ちが重く沈む。


今さらそんな気安い話し方を心がける意味があるの?


「あの、悟己は……」


「俺の息子だろ」


自信に満ちた態度に驚くと同時に、狼狽える。
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