再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「なん、で……」


「少し考えればわかる。希和は俺以外に体を許していないと言った。悟己は俺の幼い頃にそっくりだし、お前が行方不明になった時期から考えると悟己の年齢に一致する」


淡々と告げる声に動機が激しくなる。

血の気が引いて、指先が冷たくなっていく。

まさか悟己の存在を知ったわずかな時間で冷静に判断できるなんて。


そもそも年齢もいつ知ったの?


「……俺と希和の息子だよな?」


今までとは違う、少し自信を無くしたような問いかけに、ほんの一瞬答えを躊躇う。

再会するまでは絶対に否定する気だった。

存在を知られたくなかったし、奪われるのが怖かった。

でも、悟巳の様子や惺さんの振る舞いを見ていると、自分の判断が正しいと思えなくなった。


「俺の名前の読み方に似せてくれたのか?」


どうして、気づくの?


「……あなたの、子どもよ」


「そうか……産んでくれてありがとう」


思いがけない礼に目を見張る。


「妊娠したから、逃げたのか?」


直接的な質問に、どう返答すればいいか迷う。


婚約者が現れて泥棒猫のように扱われたから、と素直に告げればいいの?
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