再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
四年前とほぼ変化のない華奢な体つきは、出産しているとは思えない。

俺たちの息子を身ごもり、産み育ててくれた彼女には感謝しかない。

同時にひとりでなにもかも背負わせた申し訳なさと、自分の不甲斐なさに腹が立つ。

今後、ふたりを守り抜くのは当然だが、どう償えばいいかと気持ちが塞ぐ。

以前もこれからも希和だけを愛している。

けれど、彼女は?

再会してから、希和の気持ちを聞いておらず小さな不安が胸の中に渦巻いたが、本気で抵抗されないのを理由に押し進んだ。

調べたところ、ほかの男の影はないようだが心の中まではわからない。

強引に事を進めた自覚はもちろんある。

入籍と同居を迫り、寝落ちする前に婚姻届に署名を促した。

疲労のためか、半ば恨みがましい視線を向けられたが、結局は記入してくれた。

もしかしたら婚姻届にサインしたという認識も曖昧なのかもしれないが、この機会を逃すつもりはない。

提出日程は後日検討するが、気づかれないように大事に保管しておく。


「……頼むから、俺と一緒にいてくれ。今度こそ絶対に幸せにするから」


心からの誓いを口にして、希和の細い左手の薬指にキスを落とす。

指輪も用意して、子ども部屋の準備も急ぐ必要がある。

幸せな忙しさを心の中でつぶやく俺の頬が自然と緩む。

逃げられてひとり取り残される、あんな苦しい想いは二度としたくない。
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