再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
立場上、必死に虚勢を張って毎日をやり過ごしていたが心の中は空っぽで、押しつぶされそうだった。

自業自得とはいえ、心身がどんどん疲弊していく。


俺はいつからこんなに弱くなったのだろう? 


瞼を閉じればすぐに希和の顔や声が思い浮かぶのに、本人はどこにもいない。

数え切れないくらいに彼女の夢を見て、目が覚めるたび、現実を思い知り寂しさに打ちひしがれる。

希和に出会う前なら、似たようなほかの女を見つければいいと鼻で笑っただろう。

たかが女ひとりに振り回されて情けない、理解できないと馬鹿にしたはずだ。

でも今は違う。

唯一無二という想い、恋焦がれるという言葉の本当の意味を知った。

希和に会う前の自分なんてもう思い出せない。

希和がいなくてどうやって仕事をし、生きていたのか、わからない。

それほどに愛しくて、大切だった。

仕事のためとはいえ、馬鹿な振る舞いをした自分を何度呪ったかわからない。

毎日、気がつけば無意識に彼女の名を心の中で呼び、話しかけている。

希和の好きそうなものを見かけるたび、胸が痛んだ。

こんな想いを切ないと表現するのだろうか。

ここまで深く彼女への愛に溺れていたと失って初めて気がついた。
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