再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
ひとりには慣れていて、むしろ歓迎していたはずだった。

けれど今はひとりきりが寂しくてつらい。

女々しいと、情けないと、わかっているが希和に触れたくて仕方がない。


なんで、もっと早く気づかなかった? 


すべてを伝えなかった?


希和の控えめな性格も、なにかを恐れるような視線も理解していたつもりだったのに。


俺から離れるわけがないと高を括っていた。

この四年間で自分の未熟さと愚かさを嫌というほど思い知り、後悔は数えきれないくらいした。

眠れない夜を幾度となく過ごし、仕事に没頭して不安を打ち消す、自暴自棄の一歩手前のような日々がどれだけ続いただろう。

目に映る世界はすべて灰色でなににも心が動かなかった。

でもあの視察の日、希和を見つけた。

彼女だけが鮮やかな色を放ち、輝いていた。


本当に、お前なのか?


一瞬、しつこく願いすぎたせいで幻を見たのかと狼狽えた。

夢ならまだ消えないでほしいと、緊張で手が震え、息が止まった気がした。

久しぶりに会う希和は相変わらず華奢で、以前より落ち着いて艶やかな美しさが滲み出ていた。


もしや、恋人がいる?


考えた途端に腹の中にどす黒い感情が湧き上がる。


――希和は俺だけのものだ。


強すぎる身勝手な独占欲だとわかるのに、感情をコントロールできない。

グッと唇を噛みしめ、愛しい人を見つめる。

俺と目が合ったときの慌てぶりと顔色の変化に、現実だとやっと理解した。

柄にもなく胸が詰まって、泣きたくなった。
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