再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「その綺麗な顔を殴りつけたいくらいに腹立たしいけれど、逃げもせず謝罪する度胸と潔さは認めるわ。あなたほどの人がまさか人前で素直に頭を下げるなんて驚きよ」


変な噂が流れても責任はとらないわよ、と冷たく言い放つ。


「自業自得ですし、希和との関係を隠すつもりはありません。彼女も息子も失いたくない。ふたりは私の宝物です」


「最低な真似をしておいてよく言えるわね。希和ちゃんがどれだけ苦労したと思うの?」


「……わかっている、とは言えません。今まで希和がひとりで背負ってきた重荷は、今後、私がすべて引き受けます。これまでの苦労を代われない分、希和を大切にして二度とそんな思いをさせないよう必死で努力します」


沢野井さんが怒りの滲んだ目で睨みつける。


「口ではなんとでも言えるわ」


「本気です。お疑いならどんな契約書、誓約書でも作成します。お怒りはごもっともですが、希和と悟己と家族になるのだけは認めていただきたい……私には本当に大切でかけがえのない存在なんです」


「別に私が認めなくても構わないでしょ? あなたならどんな勝手もできるんじゃない?」


皮肉のこもった言い回しが耳に痛い。


「希和の、私にとっても恩人であるあなたには、嘘偽りなく誓わせて、認めていただきたい」


「隠さないって、具体的にどうするつもり?」


俺の言葉は完璧に無視して、沢野井さんが尋ねた。
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