再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
不運にも現在渕上さんは不在で、本社とのパイプ役を担っている寒河さんは普段から出張が多く顔を合わせる機会は少ない。
深い息を吐いた副社長に、次はなにを言われるのかと身構えてしまう。
「俺たちは雪の事情に詳しくない。だがここで長年暮らしているお前ならわかるだろう」
冷静な声に、ほんの少し気持ちが落ち着く。
脳をフル回転させて必死に答えを絞り出す。
どうか副社長の求めるものであってほしいと願いながら。
「こ、この辺りは道幅は広いのですが、除雪車がここまでしか入りません。一方こちらは頻繁に除雪が入り、雪の運搬も迅速なので見通しはかなり良いです。交差点も真冬になると雪が積まれますので……」
副社長の顔を見ず、手元の資料に視線を向け早口で説明する。
背中に冷たい汗が流れ、指先が微かに震えていた。
「――もういい」
淡々とした静止の声に反射的に顔を上げた。
手元の資料を握る指にギュッと力を込める。
「よくわかった。今の内容をまとめてくれ」
フッとほんのわずかに口角を上げた副社長に、目が釘付けになった。
嘘……笑った……。
一瞬とはいえ、初めて目にした柔らかな表情に、鼓動がひとつ大きな音を立てた。
深い息を吐いた副社長に、次はなにを言われるのかと身構えてしまう。
「俺たちは雪の事情に詳しくない。だがここで長年暮らしているお前ならわかるだろう」
冷静な声に、ほんの少し気持ちが落ち着く。
脳をフル回転させて必死に答えを絞り出す。
どうか副社長の求めるものであってほしいと願いながら。
「こ、この辺りは道幅は広いのですが、除雪車がここまでしか入りません。一方こちらは頻繁に除雪が入り、雪の運搬も迅速なので見通しはかなり良いです。交差点も真冬になると雪が積まれますので……」
副社長の顔を見ず、手元の資料に視線を向け早口で説明する。
背中に冷たい汗が流れ、指先が微かに震えていた。
「――もういい」
淡々とした静止の声に反射的に顔を上げた。
手元の資料を握る指にギュッと力を込める。
「よくわかった。今の内容をまとめてくれ」
フッとほんのわずかに口角を上げた副社長に、目が釘付けになった。
嘘……笑った……。
一瞬とはいえ、初めて目にした柔らかな表情に、鼓動がひとつ大きな音を立てた。