再縁恋～冷徹御曹司の執愛～
自宅に到着してしばらくすると、惺さんが慌てた様子で帰宅した。


「希和！　悟己！」


ギュッと広い胸に抱き込まれ、やっときちんと呼吸ができた気がした。


「惺さん……」


すでに詳細を把握している彼は私と悟己を確認して大きな息を吐く。

長い間杏実に遊んでもらっていた悟己は疲れたのか、リビングで眠っていた。


「……無事でよかった……」


絞り出すような声と歪んだ表情に、心配をかけたと心苦しくなった。

樋浦さんに遭遇した際に悟己がおらず、また危害を加えられなくて本当に良かったと心から思った。


「手塚さん、本当にお世話になりました。希和と悟己を守ってくださりありがとうございました」


惺さんは腕をほどき、私の腰を抱きなおす。

そして先ほどより落ち着いた表情で丁寧に礼を告げ、頭を下げた。


「いえ、顔を上げてください。樋浦さんは以前と様子がずいぶん違っていて追い詰められているようでした。どうか希和と悟己くんをよろしくお願いします」


「もちろんです。今、詳細を確認中です。判明次第、対処し報告します」


惺さんの力強い返答に納得した杏実は私を心配しつつも帰っていった。
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