再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
さらに一週間が過ぎた。

最低限の外出は惺さんや渕上さんに付き添ってもらい、少しだけ可能になった。

けれどまだ答えは出ておらず、そのせいか惺さんとの関係も再びぎくしゃくしている。

そんな折、親友から電話がかかってきた。

杏実はあの事件の日から何度も連絡をくれていた。

さすがに別離云々で悩んでいるとは話せずにいたが、勘の鋭い親友はお見通しだった。


『まさか、変な責任を感じて別れようとか考えているんじゃないでしょうね?』


「なんで……!」


やっぱり、と親友はため息を吐く。


『そんな真似をしても誰も幸せになれないでしょ。むしろあの性悪令嬢たちの思うつぼよ。冷静になりなさい。なにが一番大切かよく考えなきゃ』


「でも、惺さんももう限界だって……!」


『ちょっと待って、いったいなんの話?』


感情を高ぶらせた私とは対照的に、落ち着いた様子で尋ねられ、先日の弱音について説明した。


『――あのね、そもそもそれが勘違いかもしれないでしょう。きちんと話し合ったの? 何回も言うけど、思い込みだけで行動して離れ離れになった過去を忘れたの?』


静かな声が耳に響く。
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