再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
『副社長が必死なのは希和と悟己くんを守りたかったからでしょ。愛もないのに義務や体面だけで動く人じゃないって希和が一番知っているんじゃないの? 私にさえ頭を下げる人が妻を大切に想わないとでも?』


厳しい指摘に目が覚めた気がした。


『そもそも副社長が、じゃなくて希和がどうしたいか、よ。夫婦は対等なの。お互いの希望を話し合ってベストな答えを導き出せばいいだけよ』


親友の言葉がストンと胸に落ちた。


そうだ、なんで忘れていたんだろう。


あんなに必死にプロポーズしてくれたのに。


ちゃんと話し合って生きていくって約束したのに。


どうしてまた戦わずに逃げようとしたのか。


なんで、いつまでも成長できないのだろう。


短絡的な自分が情けなくて恥ずかしい。


「杏実、ありがとう。私が間違っていたわ。ちゃんと話して立ち向かう。惺さんと悟己を守りたい」


『それでこそ私の自慢の親友よ』


私の決意表明に杏実は満足そうだった。

その後、帰宅した彼に改めて胸の内を打ち明け、ふたりで出勤と悟己の保育園復帰を決めた。

ちなみに悟己には「怖い人たちがお外にたくさんいるから、今は出れないの」と、この状況について説明していた。
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