再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「待ってください。急に一体どうされたんですか? 勤務中ですし、私的なお話は……」


矢継ぎ早に質問され、勢いに怯んで足が後退する。

どこか剣吞な雰囲気をまとった白鳥さんは、普段とは別人のようだった。


「ある人から伺いました。武居さんが御曹司を騙して誑かしたと言われましたが、あなたがそんな真似をするとは思えないし、思いたくない。なにか事情があったのではないですか?」


婉曲的な制止は届かず、距離をどんどん詰めてくる。


なんで、白鳥さんが私の結婚を気にするの? 


目的はなに? 


ある人って誰?


理解できない事態に混乱するが、なんとかしなければいけない。

誰かに見られて誤解されるのも困るが、真意がわからない今、助けを呼ぶべきだ。

慌てて入り口のガラス戸に視線を向けると、白鳥さんは私の意図を読んだのか、サッと踵を返して店のガラス戸のブラインドを下げてしまった。

幸いにもガラス戸の施錠はされなかったが、外から店内が見えない密室状態という最悪の状況に背中に冷たい汗が流れた。


「……どうして、私の事情を知りたいんですか……?」


震える声で問いかけると、再び彼は振り返り近づいてくる。

それほど広くない店なので、あっという間に壁際に追い詰められた。
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