再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「彼はこんな自分勝手で弱虫な私をあきらめずにいてくれました。ずっと捜して愛してくれていました。だからもう私からは絶対に離れません」

 
信じるのがずっと怖かった。

また置いていかれたらと不安だった。

でもそれはすべて、自分の弱さと本気で向き合っていなかったから。

“彼が”ではなく“私が”どうしたいかだった。

 
誰よりも深く彼を愛しているし、ずっと一緒にいたい。

この気持ちに迷いはない。


「なにを言っているの? 惺さんがあなたの浮気の言い訳を聞くはずないわ! 彼の評判を落とす疫病神が、早く消えて!」


 
自分の行いは棚に上げ、鬼のような形相で口汚く罵ってくる。

記憶にある、上品なお嬢様の面影はまったくない。

あまりの変貌ぶりに同一人物かと疑うほどだ。


「わかってくれるまで何度だって説明します。彼を守るのが私の役目です。あなたには絶対に渡しません!」


自分でも思った以上にキツイ声が出た。

その瞬間舘村さんの顔が怒りに歪み、綺麗にネイルの施された手が振り上げられた。

 
たたかれるっ……!


痛みを覚悟してギュッと目を瞑った。
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