再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「武居さん……っ」


白鳥さんの慌てた声が耳に響いたが、いつまでも衝撃はやってこなかった。

代わりに、ふわりと肩を引き寄せられ嗅ぎなれた匂いが鼻を掠めた。


「――俺が希和を疑うはずないだろ……大丈夫か?」
 

聞こえた低音に恐る恐る目を開けると、二重の綺麗な目が心配そうに私を見つめていた。


「……惺、さん……?」


「ケガはしていないか?」


「平気……なんで、ここに……」


「得体のしれない画像が届いたからな」


しれっと話す彼だが、よく見ると髪が乱れ、呼吸も荒い。

急いで駆けつけてくれた様子に嬉しさと安堵で胸が苦しくなった。


「惺さんっ! その最低な女にわからせようとしているのになぜ止めるのっ!」


金切り声にハッとして、頭を動かすと舘村さんが憤怒の表情で叫んでいた。

彼女の腕は惺さんに掴まれている。


「最低な女はあなただ、舘村さん」
 

竦みあがるほどの冷えた眼差しと、怒りを押し殺したような低い声が響く。


「俺の大事な妻になにをしようとした? どれだけ傷つけたら気が済むんだ! 希和が許しても俺は絶対に許さない」


「な、なにを言っているの? 私たちは将来をともにするのよ。その女さえいなければすべてはうまくいくの」


「あなたとの将来なんてまっぴらごめんだ。考えたくもない」
 

周囲が凍りつくほどの冷たい声で言い切られても、舘村さんはあきらめない。
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