再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「希和、帰ろう」


「惺さん、助けてくれてありがとう。迷惑をかけてごめんなさい。でも、一体なにがどうなっているの?」

 
白鳥さんの後姿を見送る私の肩を引き寄せた彼に、謝罪して尋ねる。

 
写真や樋浦さん、舘村さんの件も、わからないし、白鳥さんの気持ちに気づいていたの?


「帰ったら全部説明する。沢野井さんにはこの後臨時休業の許可をいただいたから心配するな。悟己は俺の両親の実家に連れて行くし大丈夫だ」

 
有無を言わさぬ声に小さくうなずいた。

簡単に店内を片づけ、惺さんの車で自宅へと戻った。

到着するまで少し寝ていろと言われたが落ち着けず、事の次第を少し教えてもらった。

惺さんとの婚約が叶わないうえ、私への想いを盾に拒絶された舘村さんは逆上したという。

私を憎み、追いつめ破滅させるために血眼になって捜していたという。

説明を聞いた瞬間、恐ろしさで体が震え、惺さんが私との同居、入籍を急いだ理由がやっとわかった。


「あの令嬢たちは入籍後もずっと俺たちの仲を壊すため、画策していたんだ」


舘村さんが口を滑らせたように、ふたりは四年以上前から表向きは知り合いではない振りをしつつ、SNS上で共謀していたらしい。

惺さんと私の情報を集め、共有し、自分たちの野望を叶えるべく動いていたという。

先輩の協力のもと樋浦家に徹底的な調査を行ったところ、最初は令嬢同士の企みだったものが家族ぐるみの企みへと発展した事実が昨日判明したそうだ。

窮地に陥った樋浦家が今回の奈央さんの企みを先輩に暴露し、すぐに惺さんへ連絡が入ったのだという。

樋浦家が以前にしおらしく話し合いの場を設けたいと口にしたのも、家族が介入していた後ろ暗さを隠すためだったようだ。
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