再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「希和、俺を見て」


思いのほか優しい声に恐る恐る目を開けると、困ったように眦を下げる惺さんがいた。


「でも好きだと告白してくれただろう? あれは嘘?」


「まさか、本心よ! 惺さんに恋した日からずっと変わらず想っている」


「だったらなにも問題ない」


きっぱり言い切られ、目を見開く。


「お前が悩んで葛藤しているのは知っていた。でも過去にひどくお前を傷つけた俺はどうしていいかわからなかった。自業自得なのに、希和が離れていくのだけがずっと怖かった」


ゆっくりと告げた惺さんは額に口づける。


「でも耐えられないって……」


「なんの話だ?」
 

本気でわからない様子の彼に詳細を告げると、すぐさま大きな手で顔を覆う。


「起きていたのか……」


「ご、ごめんなさい」


「いや、あれは希和を失うのは耐えられないって意味だ」


「えっ」
 

嘘、勘違いだったの?
 

脳裏に以前の杏実との会話が蘇る。
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